じつは怖い?捨印を気軽に押してはいけない本当の理由
「ここに捨印を押しておいて下さい」と言われたことはあるでしょうか。
文書の欄外に押印する箇所が指定されていて、そこに押印すること及び押印された印影のことを捨印といいます。
何らかの取引契約を文書で交わした時に、署名捺印とは別に欄外に押印するよう求められることがあります。
訂正印の一種ですが慎重に取り扱なければならないものです。
何のためのものか
本来は何らかの訂正を行うには、当事者双方の訂正印が必要で、訂正箇所一つ一つに押印することになります。
訂正印のない修正は無効とみなされて、文書そのものの有効性がなくなる場合もあります。
そのため、訂正印をもらいに相手方まで赴く手間がどうしても発生しますし、度々あると大変です。
捨印があることで、もし後日に訂正に気付いた場合でもわざわざ当事者のもとに訂正印を求めに行く必要がなくなり、一方の当事者だけで内容を変更できるようになります。
その権限を与えることを許可するという意思表示が捨印です。
すべての権限を与えるのは危険
もともと捨印というのは、委任された代理人が委任された内容を書き込むためやミスを訂正するために、委任する人が事前に押すものです。
捨印が適用される範囲はその文書の全てですから、もし相手が悪意を持っているなら金額や責任範囲などをいくらでも書き換えることができてしまいます。
実は白紙委任状と同じくらい危険なものなのです。
捨印を使うにしても、確かな信頼関係のある相手とだけにした方が安心です。
そのようにして捨印によるトラブルを回避しましょう。
使用する印鑑
捨印に使用する印鑑は何を使ったらよいのでしょうか。
実印でなければならないのでしょうか。
必ずしも実印である必要はなく、認印でもかまいません。
捨印として有効な条件は、署名捺印した印鑑と同じもので捺印するという点です。
署名捺印が認印であれば同じ認印で押しますし、実印であれば同じ実印を使います。
効力の面ではどちらでも同じです。
実際は捨印を使うような文書の場合は、実印を使うことがほとんどでしょう。