印鑑でポピュラーな象牙に関して
さて象牙はワシントン条約で1999年から国際取引が禁止されているものですが、象牙の印鑑を買うことには問題はないのでしょうか。
日本はワシントン条約を批准しており、国内でも「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)が制定されています。
象牙の取引は一切禁止されているわけではなく、象牙の取扱業者は「種の保存法」に基づく「特定国際種事業者」として登録が必要です。
ですから「特定国際種事業者」から象牙を購入する分には全く違法ではありません。
流通する象牙はどこから?
象牙が輸入できない以上、国内で流通する現在の象牙はいったいどこから来るものなのでしょうか?
まず輸入禁止以前の象牙の在庫があります。
また以前から個人として所有していた象牙を業者に売って流通する場合もあります。
1999年と2009年に自然死した象の個体から集められた象牙がナミビア・ボツワナ・ジンバブエより合法的に日本に輸入されたことがありました。
国外へ持出しは禁止
日本国内で購入した象牙は国外には持ち出せないことになっています。
では海外に引っ越すときに象牙の印鑑を持っていた場合はどうすればよいのでしょうか?
税関で見つかって没収されることはほとんどないようですが、もしもの時のことを考えて海外には持っていかないほうが得策でしょう。
賛否両論、議論は続いている
自然死した象から象牙を取るのは何も悪いことではなく、象牙をこれまでと同様に合法的に流通させることは問題ない、という人もいれば、象牙が流通している以上、密漁の原因となるので全く流通させるべきではない、という人たちもいます。
象牙に関するさまざまな議論は続いています。
象牙製品を持つことは国内法で禁止されておらず、現在のところ合法であるのですが、象牙が貴重なものであるだけにお金欲しさに密猟者が跡を絶ちません。
象牙を輸出したいアフリカ諸国は、アフリカゾウの保護のための資金を得るためにもある程度の象牙の商業取引は必要であると主張しています。
象牙は人類の歴史の中で欠かせないものでした。印鑑の素材としても最高級なものです。
ですから象牙をこれからも使い、楽しんでいくためには、密漁による流通を許さないという各国の取り組みがこれまで以上に大切です。
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印鑑の素材解説(角・牙(2))